芥川龍之介全集(第16巻) [ 芥川龍之介 ](ショップ:楽天ブックス)  小説

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■目次
或旧友へ送る手記/闇中問答/十本の針/小説作法十則/機関車を見ながら/或阿呆の一生/侏儒の言葉(遺稿)/「侏儒の言葉」の序/対談・座談(芥川龍之介氏縦横談/女性改造談話会 ほか)


■青空文庫から『十本の針』を一部抜粋
     一 ある人々

 わたしはこの世の中にある人々のあることを知っている。それらの人々は何ごとも直覚するとともに解剖してしまう。つまり一本の薔薇(ばら)の花はそれらの人々には美しいとともにひっきょう植物学の教科書中の薔薇科(しょうびか)の植物に見えるのである。現にその薔薇の花を折っている時でも。……
 ただ直覚する人々はそれらの人々よりも幸福である。真面目(まじめ)と呼ばれる美徳の一つはそれらの人々(直覚するとともに解剖する)には与えられない。それらの人々はそれらの人々の一生を恐ろしい遊戯のうちに用い尽くすのである。あらゆる幸福はそれらの人々には解剖するために滅少し、同時にまたあらゆる苦痛も解剖するために増加するであろう。「生まれざりしならば」という言葉は正(まさ)にそれらの人々に当たっている。


■『十本の針』などの著作権が切れている作品は青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)でも読むことができます。






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